メキシコの軽食と言えば「タコス」が有名ですが、実はタコス以外にもいろいろあります。
そのひとつが「タマレス(Tamales)」
古くから伝わるメキシコ料理のひとつで、今でも多くのメキシコ人に愛されています。
今回そんなタマレスの作り方を、メキシコ・ベラクルス出身のお友達に教えてもらいましたので紹介します。
タマレス(Tamales)とは
タマレス(Tamales)とは、簡単に言うと「メキシコ版ちまき」。
とうもろこしの粉「マサ」を水やスープ、ラードでよく練り、中に具材を入れ、それをとうもろこしの皮や葉、バナナの葉で包んで蒸したお料理です。
メキシコ中央部から北部では、とうもろこしの皮を使うのが主流です。
他、ミチョアカンではとうもろこしの皮ではなく葉を使ったり、今回紹介するベラクルスやオアハカなどでは、バナナの葉を使うそうです。
タマレスは遥か昔から伝わる料理で、なんと紀元前5,000〜8,000年前から食べられているとのこと。
元々は狩りに出かける時や、軍人さんが持っていきやすいようにと作られた携帯食だったようですが、時を経て今では多くのメキシコ人に愛させるソウルフードになりました。
メキシコを巡っていると、所々にタマレス屋さんを見かけるほどです。
タマレス(Tamales)ベラクルス風の作り方
タマレスは気軽に食べられるお料理ゆえに、作るのも簡単そうに見えてしまいますが、その工程の多さには驚かされます。
少し長くなりますが、順に説明していきますね。
鶏肉のスープ作り(Caldo)
メキシコ料理では欠かせない「鶏肉のスープ」
日本料理で言う、お出汁です。まずはこちらを作ります。
骨つきの鶏肉に、玉ねぎ、塩を入れてゆっくりと煮ていきます。
茹で上がった鶏肉は裂いてタマレスの具材となります。
具材作り 豚肉のサルサアドボ
メキシコの香辛料「チレアンチョ」を使用したサルサ(ソース)に豚肉を入れたものを作ります。
チレアンチョの種と軸を取り除きます。
フライパンにチレアンチョとお水を入れて、よく煮て柔らかくします。
柔らかくなったら、ミキサーにフライパンの中身(チレアンチョと茹で汁)、にんにく、玉ねぎ、水を入れて撹拌します。
ペースト状になったものと塩少し、豚もも肉の角切りをよく和えて準備は完了。
この時、豚肉は生ですが、あとから蒸されて火が通るので大丈夫です。
このチレアンチョで作ったソース(スペイン語でサルサ)のことを、「Salsa de Adobo(アドボ)」というそうです。
具材作り 鶏肉のサルサベルデ
日本ではあまり馴染みのない、緑のトマトを使ったサルサ(ソース)です。
緑のトマトは「トマテ」とか「トマティージョ」と呼ばれます。
名前はトマトみたいですが、実はトマトの仲間ではなく、ほおずきの仲間です。
左がトマテ。売られている時は、ほおずきのように皮がついています。皮の色は緑色。
右がメキシコ料理で超重要なパクチー。スペイン語でシラントロと呼ばれます。
トマテ、シラントロ、玉ねぎ、にんにく、水を入れてミキサーで撹拌します。
お鍋に入れて火にかけます。味付けはシンプルに塩のみ。
辛くする場合は、チレセラーノと呼ばれる緑の唐辛子を入れます(ミキサーの段階で入れます)。今回は辛いの苦手な日本人向けになしで作りました。その場合は少しお砂糖を入れると味がしまっていいそうです。
具材作り フリホーレス(塩味の豆)
メキシコ料理に欠かせないものの「フリホーレス」
インゲン豆を塩味で煮たものです。
マサ(生地)の準備
メインとなるマサ(生地)の準備です。
この日はトルティージャ屋さんで買ってきた生地をベースに使いました。要はタコスの皮を焼く前のものです。
そこに最初に作ったチキンスープを少しずつ入れて、よく混ぜていきます。
生地のダマを潰しながら、かなりしっかり混ぜていきます。
混ざってきたら、タマレス作りの特徴のひとつ「豚のラード」を加えて、さらによく混ぜていきます。ラードは日本で売られているものよりかなり柔らかい感じです。
最後に塩で味を整えます。
固さはお玉ですくってぽてっと落ちるくらい。一般的なホットケーキの生地より固めです。
バナナの葉の準備
生地と具材を包む「バナナ」の葉の準備です。
初めて見ました、バナナの葉!!
これは包みやすいように既に焼いてあるバナナの葉だそうです。
市場(メルカド)に売っているそう。スーパーでは見かけたことがありません。
こちらをきれいに拭いて、包みやすいサイズに切っておきます。
タマレス包み
いよいよ包む作業です。
まずはバナナの葉の上にお玉1杯ちょっとくらいの生地をのせ、少し広げます。
準備しておいた具材、サルサを生地の上にのせます。
こちらは豚肉のサルサアドボ。
ここからが少し難しい…
奥まで半分に折ります。
さらに奥の皮を少し手前に折り曲げます。
持ち上げて上の部分を折り曲げて、包み終わりです。
包み終わったら、蒸し器に入れていきます。
上にどんどん積んでいく感じです。
バナナの葉が硬いと、包んでいる途中で穴が開いてしまうことがあります。その時は火で炙ると柔らかくなります。
ちなみに他の具材はこんな感じです。
こちらはフリホーレス。
緑の葉は、「Hoja santa」というメキシコの香辛料。
スッキリした風味で、フリホーレスのタマレスに芯を与えてくれるようなものでした。
こちらはサルサベルデ。裂いた鶏肉ものっています。
蒸して、完成!タマレスの出来上がり!
圧力鍋で蒸すこと1時間…ついに完成です!
普通の鍋で蒸すと、なんと3時間もかかるそうです…
ちなみに昔タマレスを売っていたお友達のおうちには、こんな大きな蒸し器が!
3歳くらいの子供なら余裕で入れてしまう、大きな蒸し器。
これに300個くらいのタマレスが入るそうです。すごい!
タマレス(Tamales)ベラクルス風 完成!
出来上がったタマレスがこちら。
こちらがフリホーレス入り。
鶏肉のサルサベルデ。
豚肉のサルサアドボ。
驚いたのはしっとり感。
タマレスは正直なところパサパサであまりいいイメージがなかったのですが、このベラクルス風は違いました。マサの味にたっぷりのチキンスープとラードの味が合わさって、とってもジューシー。そこに各具材やサルサの味が加わり、なんとも言えないその美味しさに手が止まらない!
まとめ
今回初めてタマレス作りを体験して感じたことは、大きく2つ。
1つは工程の多さ、大変さ。
道端でも売れられているくらいなので、なんとなく気軽で簡単な料理と思ってしまいがちですが、作るのは本当に手間も時間もかかります。もう作ってくれるメキシコ人に感謝です。
2つ目はバラエティの豊かさ。
包む皮の違い、具材の違い、パサパサタイプがあったり、しっとりタイプがあったり…
タマレス=とうもろこしの皮&パサパサだと思い込んでいましたが、実は全く違いました。日本でいううどんみたいな感じで、地域によってさまざまな特徴がある面白い料理だと思います。
タコス以外にメキシコ料理を楽しみたいという方!
ぜひ「タマレス」にも挑戦してみてくださいね!
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